日経平均、景気循環と企業業績から見た妥当値は?

2024/12/20 白石 定之

景気循環における現在地はどこ?


 日本株分析について、最新データにアップしました。

 まず、私が捉えている景気循環における株価のイメージと現在の位置は次の通りです。

(図1)景気循環における株価のイメージと現在の位置

*2024年12月13日時点
出所:マネーブレインが作成

 この景気循環は、約3年半で循環する在庫循環をベースにしているもので、おのおのの局面を独自分析に基づいて「春」「夏」「秋」「冬」という季節になぞらえていて、それぞれの位置付け、過去における株価の傾向は、次のようになっています。

「春」…不況から景気回復の局面(株価は上昇する時期)
「夏」…景気回復から好況の局面(株価は上昇する時期)
「秋」…好況から景気後退の局面(株価は上がったり下がったりしながら、横ばいもしくは徐々に下げていく時期)
「冬」…景気後退から不況の局面(株価は前半に大きく下げやすく、後半は底値圏を上がったり下がったりの横ばいから冬の終わりには上がり始める時期)

 そして、季節の変わり目は、図1の赤字で示したように定義付けをしていて、7月29日発表のファナック(6954)の第1四半期決算において、売上高・在庫がともに前年比で減少したので、現在は「冬(後半)」という「底値圏を上がったり下がったりの横ばいから冬の終わりには上がり始める時期」に位置しています。

 次に、独自分析している日経平均の予想EPS(1株当たり利益)を見ていきましょう。

(グラフ1)予想EPSの推移

*2024年12月13日時点
*予想EPSは、アナリストの来期予想と再来期予想を独自に調整しています。旧基準と新基準の違いは、独自分析におけるソフトバンクグループの利益の設定額の違いによるものです。
出所:予想EPSはIFIS提供データ(https://scope.ifis.co.jp/)をもとにマネーブレインが独自分析し作成

 日経平均の動きでみると、2019年の2万円台前半の動きでしたが、おおむね予想EPSの上昇と並行するように上昇し、足元においては3万円台後半の動きとなっています。

 予想EPSの前年比増減率の関係を見ると、次のようになっています。

(グラフ2)予想EPS(前年比増減率)

*2024年12月13日時点
出所:予想EPSはIFIS提供データ(https://scope.ifis.co.jp/)をもとにマネーブレインが独自分析し作成

 2020年3月のピークはコロナウィルス感染症拡大というイレギュラーな事象だったので、それを除くと、予想EPSの前年比増減率がピークとなるあたりから、日本株は全体として横ばいもしくは調整する動きとなっています。

 現在は、ピークアウトして右肩下がりの状態にあるので、少なくとも日本株は全体として上がりにくくなることが想定されるということになります。

景気循環と予想EPSから探る妥当値


 ここまでをまとめると、景気循環は「冬(後半)」、予想EPS前年比増減率においては「ピークアウト」となっていて、これを基にした日本株全体の妥当値を日経平均で考えると、私は経験上、次のように考えています。

(グラフ3)日経平均株価の妥当値

*2024年12月13日時点
*予想EPSは、来期予想と再来期予想を独自に調整しています。
出所:予想EPSはIFIS提供データ(https://scope.ifis.co.jp/)をもとにマネーブレインが独自分析し作成

 日経平均で考える際には、予想EPSを100/7倍した値(PERで14.28倍)を1つの基準としてみていますが、足元の値は3万3,050円あたりに位置しています。現在の景気循環と、予想EPS前年比増減率の状況から考える妥当値は次のとおりです。

1.企業業績が伸びている局面 → 橙線の10~20%上=3万6,350~3万9,650円

2.企業業績が伸び悩んでいる局面 → 橙線~10%上=3万3,050~3万6,350円

3.企業業績が悪化に転じてきた局面 → 橙線~10%下=2万9,750~3万3,050円

 それでは、この三つのうち、今、どの局面にいるのかですが、その基準を橙線の予想EPSが4週前と比較してプラス0.5%以上であれば「(1)企業業績が伸びている局面」、0%から0.5%未満であれば「(2)企業業績が伸び悩んでいる局面」、マイナスであれば「(3)企業業績が悪化に転じてきた局面」と定義しています。

 では、足元はどうなっているのかというと、12月13日時点での予想EPSの4週間比はプラス0.68%となっているので、現在は「(1)企業業績が伸びている局面」、妥当値は、3万6,350~3万9,650ということになります。

 日々の株価の値動きに踊らされて一喜一憂することのないよう、俯瞰(ふかん)して見ることのできる何らかの基準を持っておくことはよいのではないかと私は考えています。あくまでもご参考ではありますが、一つの目安にしていただけましたら幸いです。

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